消えゆくサーフポイント沖縄部間
SFJ会員 大串剛史(ぐっしー)
先日、アメリカに住んでいるイルカ・クジラの研究家の荻野さん(SFJの機関紙ツナミニュース23号で
イルカ・クジラの救助に関する記事を書いてくださった)から、2001年末に、長崎と、沖縄で講演会があるのだけど、そのときにサーフィンができるポイントって、どこがあるの?っていうメールが来たのでインターネットをイロイロ探していました。
そうすると、沖縄やんばるに部間(ぶま)というリーフがとてもキレイでコンパクトなサーフポイントが、あと半年で道路工事によって消えゆく状態になっているということを知りました。
赤いラインが新設される橋、青い線はリーフでブレイクする形。完璧なポイントブレイクで、腰からヘッドオーバーまで変わらない。これほど岸から近く、このようなサンド&リーフという比較的安全なポイントは沖縄では稀な場所です。
画像提供:沖縄県北部土木事務所
沖縄在住のやぬきさんが、沖縄を愛するサーファー達に知ってもらいたいと、沖縄サーフポイント部間の環境問題というホームページを作成されていて、この状況を、荻野さんに紹介したら、ぜひ講演会の途中に、現場を視察したいということになりました。やぬきさんに、いろいろポイントの状況をお聞きするようになり、ぜひサーファーサーチエンジンにやってくる波乗り好きの皆さんに、知ってもらえたら良いと思い、このようなページを作成しました。
この部間というポイントは、普天間基地代替ヘリポート問題に 揺れている《名護市》にあります。
このサーフポイントは この普天間基地問題にくらべると、たいへん小さな問題としてとらえられています。 政治的なチカラで、ジュゴンが住むヘリポート建設予定地の問題と一緒にされてしまう可能性もあり、部間を愛するサーファー達は怖がってるそうです。
問題はややこしく、かなり奥が深いようです。
ただ波乗りをする環境を残すだけだったら、橋桁を数本抜く、設計変更だけで済みます、それを目的として運動すれば計画変更で変わるのは設計と予算だけ。橋も波も変わりません。=これでサーフィンは出来る!
でも、それでいいのでしょうか?それを目標にして行政にしてもらいたいことなのでしょうか???これはサーファーからの視点に過ぎないのではないでしょうか?私たちは波を残す願いと海を楽しむものとして行動が伴っているのでしょうか?客観的にみて。ローカルサーファーも観光客
サーファーもサーファールックスの人たちも。。。 難しいですよね。
部間という場所はどういうところかと調べてみると、面白い民話があるようです。
★部間権現(ぶうまごんげん)の刀
無病息災や豊作祈願など人々の“守り神”として親しまれ、300年以上の歴史を持つという部間権現。薩摩の人が、部間権現を拝みにきたとき、そこに刀を忘れてしまい、船に乗ってから忘れたことに気づいた。そして、船の上から部間権現の神様に
「今度来る時まで、刀がありますように」とお願いした。 すると、その刀は、人に見つかりそうになると、ハブに化けたりして、薩摩の人が次に来た時まで、人に取られないで、そこにあった。
それから部間権現は、何でも願いがかなうすばらしい神様だと祀られるようになったそうだ。
出典:名護市ホームページ
このような場所ですが、近辺は、ほぼ湾岸道路が完成しこの小さな湾に橋を架けるのがファイナルとなります。もっと恐ろしい計画は沖縄のサーフメッカである砂辺の湾岸道路建設計画で、将来的には一帯のサーフポイントは消えることになっています。
工事中の部間。このような波が無くなるなんて、、、
画像提供:やぬきさん
特に本部循環線の屋部から崎本部間は産業道路と してずっと以前より計画されていた事です。部間には採石場が存在し、まず砕石積載大型ダンプの道路を民間地域から
遠ざけることが地元住民には必要!との話しがあります。以前は窓も開けれない、 洗濯物も外に干せない、子供達の通学路にもなっている等、
安全面も含めて最悪な生活環境でした。 ぼくらが見ても、よくここで生活しているなと思うくらい。と部間在住のローカルサーファーも語っています。
湾岸バイパスというショートカットをサーファーが反対することで、その先の郊外市町村 の住民達は、サーファーを敵として見るようになるかもしれません。
「現在の沖縄は、失業率も高く、中には、家族を養うためには工事がしょうがないと思う人(海を愛する人)もいるそうです。
将来ではなく、今をどう生き抜くかという、生活水準の低さも沖縄の北部にはある。また、ここで漁協を営んでいる人はほとんどおらず、海を楽しむのは釣りぐらい。
釣りやすいところは逆に人工構築物が有った方がいいと思う人も多いぐらいです。」 と、やぬきさんはおっしゃっています。
土建業で生活する人がいる -> 仕事がない -> 国が工事を発注し、仕事を作る -> 他の工事より国が発注する工事のほうが安心して確実に仕事がこなせる
-> 国が発注する工事に依存する体質ができる -> 開発を望む構造となる -> 開発をしつくすと自然に手を加える -> 海・山・川がコンクリートで固められる
じゃぁ、工事に依存しない体質を作るにはどうすればいいか? これは、即答が難しいですよね。っていうか不可能、、、
一般的には、沖縄の海浜がサーフィンなどのサーフポイントとして、観光スポットとして使えるようになっているとは、名護市をはじめ沖縄県などの自治体にも知られておらず、観光としては沖縄ではサーフィンできない、いや、たいへん危険な行為されています。
今年のJPSAの今年度最終戦(白浜の大会)は沖縄の本島で行われる予定でした。沖縄県の理解が得られず開催中止となった※そうです。
まぁ、ローカリズムなど各地で変な問題がいまだにあったりして、サーフポイント自体が、シークレットな場所でもあったり、すべて
ウエルカムで、オープンではないと思います。また必ずしも、すべてのローカルサーファーが観光サーファーOKとも思わないだろうし、、、
しかし、このような問題がおこった場合、やはり地元のサーファーだけでは解決することは不可能であることはすぐに理解できることだと思います。
採石場ということはいずれそこには石がなくなるわけで、石がなくなった後に目の前にあるコンクリートの固まりの道路と、昔のキレイな海の写真などを見て、住民やその子供たちは、
何を思うのでしょうかね。(遠い100年後の話しですが、)
自然を大切にしたい!残していきたい!っていう思いに賛同してくれる人がやがてもっともっと沢山でてくればいい。
そういえば、昔こういう運動があったのだよね!っていわれるような 歴史的資料となってくれれば、それでいいですね。
海のこと、山のこと、川のことが自然に戻る(戻す)ような運動に そだって行ってほしいと思います。 今の地形は数億年かかってでき、じつはまだ変化しつづけてるわけですが、
人の手が入っても、それは終わりではなく、数億年というスパンで 変化している途中だと思えば、気が楽になっていいのかな?
いま、ポイントがなくなっても、ポイント復活のウネリが数百年という
間隔でやってくるかもしれないですよね。 でも、今なにもやらない、語らないと、そのウネリは絶対に やってこなくて、なにも変わらないでしょうね。
サーファーはイルカ・クジラと一緒で、陸から海に帰った哺乳類! 数万年たったらヒレ生えているかも、、、
沖縄はジュゴンだけじゃなくサーファーの生息する場所も保護しよう! このままでは日本の自然環境で生息するサーファーは絶滅する。
なぁ〜んてネ!
ただひたすら、「ハンターイ!」って叫んでも何も解決はしないことは各地のサーファーは経験していると思います。どのようにすれば、私たちサーファーが大事にしている海を、生活の一部として波乗りをしている私たちのサーフポイントを守っていくことができるのか?本当に波乗りが大好きな人たちに、ローカル、ビジターなど関係なく考えてもらいたいものです。
いま、このような道路工事だけでなく、消波ブロックのかわりに、人工リーフを投入する計画が全国各地で存在しています。ある地域では同じ海に入れるならサーフィン可能な人工リーフを投入するという動きもあるようです。
越波による被害が深刻な場所は、そのようなリーフを入れることは仕方がないと思いますが、産業がないからなどの理由で、安易に人工リーフを入れて海を壊すようなことはしてほしくないと私は思っています。
Tバーが入れば波が安定して良いと考えられた、茅ヶ崎のサーフポイントでは、毎年Tバーに挟まって死んでしまうサーファーが沢山います。人工構造物は安易に入れるべきではないと真剣に私は思います。
一度はいってしまったものは取ることは不可能に近いことです。設計ではうまくいっても実際に海に入ってしまえば全然思ったような波が立たないかもしれません。
工事の設計・企画などの段階でサーファーがどれだけ工事に関わることができるのか?ホントに難しいけれど、どうすれ関わることができるのか勉強していかないと、サーファーという生物が、自然環境で生息する場所が破壊され、やがて、日本に天然物のサーファーがいなくなってしまうかもしれません。
生き残るのは、人工リーフで育った養殖もののサーファーだけかな?
沖縄の部間のサーフ環境問題については、http://members.goo.ne.jp/home/bumma
をごらんください。
もし部間を訪れたことのある人や画像をお持ちの方は部間の掲示板に投稿してあげてください。せめても、この
http://members.goo.ne.jp/home/bumma というHPをメモリアルとしてずっと残していこうとしています。無くなってしまった、ヨナバ
ル・アジャレギュラー etc......、沖縄のサーフポイント、日本中の大切なサーフポイントを失うのはこのぐらいにしましょうよ。
真剣にサーフポイントを守っていきたいと考えたらぜひ、SFJという団体を知ってください。
ではでは
----------------掲示板から転記----------------
2001.10.18 JPSAロングボード公認プロ各位
富士家沖縄ロングボードクラシックについて 今年度最終戦としてクレジットされていた「富士家沖縄ロングボードクラシック」は、開催地での水難死亡事故の発生や米兵サーファー及び県外サーファーとの事故が多発した為、行政を含めローカルサーファーとの話し合いを重ねた結果、今年度の開催を断念したいとの報告を受けました。JPSAとしても、新たな開催地ということに加え、新たな概念を持ったコンテストとして位置付けていた為、大変残念なことと考えていま
す。現在、最終戦の開催に向けて代替の開催地を探す作業に入っております。取り急ぎ、開催地変更のお知らせまで。
----------------掲示板から転記----------------